停戦の兆しを見せない、ロシアによるウクライナ進攻。
以前、小麦の記事をとり上げたように原材料価格の高騰は依然として続いており、今回はとうもころしでございます。
家畜などの成長に欠かせないとうもころしも、昨今の価格高騰を直撃しているようです。
日本のとうもろこしの輸入状況
それでは、いつものとおり、マーケットの概要を見ていきたいと思います。
農林水産省の「飼料をめぐる情勢(令和4年3月)」によると、現在日本が飼料用穀物として主に取引している国は、米国とブラジルになります。
どれぐらいの割合かというと、令和2年度のとうもろこしを含む総輸入量約1,120万トンに対して、米国が約768万トン、ブラジルが約344万トンと、約99.2%をこの2つの国から輸入している状況であります。
飼料用穀物は、他にこうりゃん、大麦、小麦なんかも含まれますが、それらを含む総輸入量1,280万トンになので、ほとんどがとうもろこしといえるような感じです。
そんなとうもろこしの価格相場ですが、令和2年頃までは、米国の豊作により、3ドル/ブッシェル(1ブッシェル=35リットル)台前段と比較的安価な価格で取引されていたものの、中国の需要増や南米産の作況悪化、原油価格の高騰そして今回のロシアによるウクライナ進攻も受けて、あれよあれよというまに、7ドル/ブッシェルの中盤くらいまで上昇しております。
日本の飼料の作付け状況
一方で、日本の生産状況はというと、日本では青刈りとうもろこしが主に飼料用とうもろこしとして生産されております。
気になる生産量はというと、こちらも農林水産省の「令和3年産飼料作物の作付(栽培)面積及び収穫量、えん麦(緑肥用)の作付面積」によると、約490万トンで前年度と比較して4%増加しているようです。数年でみると、横ばいといった状況です。
都道府県別の割合としては、北海道が、全国の7割を占めているような感じです。
なんとなく、日本でもある程度生産できているのでは?といった数字ですが、飼料自給率(需要に対して、国内で供給できている割合)全体を見てみると、25%と1/4ほどとなっており、総論としては依存率はかなり高いといえましょう。
食料自給率とその餌となる飼料自給率も海外への依存度が高めということで、昨今の物価の上昇についても、うなづかざるをえないというところであります。
飼料自給率向上に向けて
まず日本の飼料自給率について、日本政府はどのような方針をかかげているかというと、農林水産省の食料・農業・農村基本計画によると、平成30年度(2018年度)の25%を基準として、令和12年度(2030年度)には、34%まで引き上げることを目標としています。
そんな中、上述の青刈りとうもろこしについては、交付金事業(水田利活用事業)として進められており、農林水産省としてPRしていますし、このほか、近年では、子実用とうもろこしなるものも注目されています。
こちらは、主食用の米に比べて面積あたりの労働生産性の高さも注目されており、農業全般の課題である労働時間の問題の解消なんかもメリットととしてあるようです。
こういった国内生産と輸入のバランスをとっていくことで、安定的供給を実現しようとされています。
目先の物価上昇の問題もありますが、自給率の問題は、日本としても長年にわたり議論されてきた課題でありますので、ぜひ改善に進んでほしいものであります。
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ということで、本日はここまで。
この記事がみなさまのお仕事の一助になれば幸いです。
3連休あけですが、それでは本日も頑張りましょう!
いってらっしゃい~
本日のインプット:テレビ東京 ワールドビジネスサテライトより。