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EUでの巨大IT企業包囲網。今後のビジネスの行く末や如何に。

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GoogleやApple、Facebook(現:Meta社)、Amazon.com、Microsoft等、我々のビジネスや生活において、圧倒的な存在感を示す、いわゆるGAFAMといった、巨大ITプラットフォーマー。

提供されるサービスやテクノロジーは、他を圧倒している一方で、市場での独占的な位置が懸念されております。

そのようなことを背景に、世界各国、特にEUにおいては、巨大IT企業を規制するために、厳しい規制を行ってきました。

EUで新たな規制法案が合意

ということで、今回のお話ですが、先週の3/24にEUにおいて巨大IT企業を規制する新たな法案、DMA(Digital Markets Act、デジタル市場法案)なるものが合意されました。

具体的な内容を見る前に、EUの個人情報やEU内の企業やサービスを守るために、EUが、他国の企業、特にIT企業を意識した規制について、現在どのような物があるか、有名どころをみてみたいと思います。

GDPR(General Data Protection Regulation、EU一般データ保護規則):

  • EU内における全て個人のデータ保護の強化を目的として、EUにおいて取得した氏名や住所、クレジットカード等のあらゆる個人情報を域外に持ち出すことを原則禁止とする。
  • 十分性認定を受けた国に対しては、民間企業においては、そのルールを順守する限り、データの移動を行うことが可能となります。

DSA(Digital Services Act、デジタルサービス法):

  • 巨大プラットフォーマーに対する、違法なコンテンツや偽情報の管理や広告の透明性の確保等を強化することを目的としたものであり、違法なコンテンツがあった場合、プラットフォーマー側は削除する必要があることが義務化されます。
  • 対象は、欧州に4,500万人以上のユーザーを保有するプロットフォームのみに適用され、順守しない場合は、年間売上高に対して最大6%の罰金を科せられます。
といった具合に、個人情報保護の強化(EU以外へのデータの移転の原則禁止)サービスやコンテンツの徹底した管理といったことを課す規制が存在しております(DSAは、承認に向けた準備中)。
そして今回合意されたDMAはというと、市場競争の促進や独占的支配力への抑止といったことを目的として、巨大プラットフォーマーに対して、ユーザー企業や消費者が、よりオープンな形で、プラットフォームを利用できるようにする規制が追加されたような形でございます。

具体的な規制としては、

  • 別のサービスで得られたデータを他のサービスへ横展開してはいけない。
  • プラットフォーム上で自社製品を優遇するような形で宣伝してはいけない。
  • プリインストールの禁止(削除可能とする)。他サービスへの相互運用性の担保等
があります。
Appleの場合を例に見てみると…
  • iPhone上で、Apple Store以外のアプリストアの開設を認めさせたり、
  • Appleが提供する決済システム以外での決済手段を認めさせたり、
  • プリインストールされているappleのアプリを削除できるようにさせるとか、
そのようものとイメージしていただければ良いのではと。

名だたる企業が対象に

さてこの法案の対象となる企業ですが、以下のように決められております。(日本経済新聞より
  • 時価総額が750億ユーロ(約10兆円)以上の企業
もしくは
  • EU内の年間売上高が75億ユーロ以上の企業

とあり、その他EUで月間4500万のユーザーを抱える企業等が対象となるようです。

違反した企業に対しては、世界の売上高最大10%の罰金、改善されない場合は20%にまで引き上げと、中々厳しい罰が強いられる可能性がございます。

具体的な企業としては、GAFAMの他、Booking.comや中国のAlibabaといった超有名な企業が対象になるような見通しであります。
(残念ながら、日本企業に該当する企業はおりませんでした。。)

巨大IT企業のEUにおけるビジネスの方向性

このような形で、EUにおいては、厳重なデータの保護や独占的な市場掌握の懸念に対しての強烈な圧力などが、巨大IT企業に対して、近年特に強まっております。

そうすると、巨大IT企業は、今後EUでのビジネスをどうやっていくのよ?という疑問が浮かんでくるわけであります。

DMAに限らず、EUの規制に関連するニュースを見てみると、、

  • Apple社は、DMAの条項によって、逆にユーザーのセキュリティやプライバシーに脆弱性を産み出すといいた形で、反対の姿勢を示す
  • Googleは、Appleとは逆に、EUと協力していく姿勢を示す
  • 旧FacebookのMeta社は、今後の規制次第では、欧州でのサービス継続が難しくなることを示唆
  • Yahooは、法令遵守や対応コストとサービスで得られる収益の採算が合わず、2022年4月より、EUでのサービス提供を中止することを発表

といった形で、やはりネガティブなリアクションが多いといった感じは否めません。

一方で、翌日の3/25に、欧州から米国への個人情報移転について、新たな枠組みのもと移転ルールを整備することが合意されたことが発表されております。

実は米国は2020年に、「プライバシーシールド」と呼ばれる欧州から米国への個人情報の移転ルールを無効とする判断を裁判所から示されていたのです。

この辺りも見越して、米国と欧州の間で、水面下では交渉が行われていたのでしょうなぁ。

以前の記事でお紹介したように、これからのビジネスにおいて、データは企業にとって最も重要な資産となってきます。

関連記事:ウェアラブル端末。利便性のその先はデータ取得の競争

国としても、そのデータがむやみやたらと他の国へ流れ出ていくことは好ましくなく、規制強化の流れは今後避けられないものと思われます。

特に、ルールメイキングを得意とする欧州において、この辺りの締め付けはますます強いものになってくるのではと、みております。

そのような中で、規制とどのようにうまく付き合っていくのか、あるいは撤退なども考えられるのか、企業と国の動向には引き続き注目が必要な状況であります。

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ということで、本日はここまで。

この記事がみなさまのお仕事の一助になれば幸いです。

それでは今週も頑張りましょう!いってらっしゃい~

本日のインプット:テレビ東京 ワールドビジネスサテライト

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