近年GAFAMといった巨大プラットフォーマーに対する規制が強くなるなか、iPhoneでおなじみのApple社が、外部の決済システムの利用を可能にしました。
スマートフォンを戦場とした、プラットフォーマーとシステム・アプリベンダーとの競争・共創はどのように進んでいくのか、考えてみたいと思います。
Apple税と揶揄される販売手数料
まずアプリが日の目をみるためには、AppleのiPhone上でアプリなどのサービスを展開する場合は、ほとんどのケースでAppleStoreでの審査が下りたもののみがiPhone上で使えるようになります。
アプリベンダーからみると、アプリを開発すると、Appleにアプリの申請を依頼し、Apple側の承認を経て、初めて自社アプリを世に出すことができるわけです。
Appleは、そのアプリの販売やアプリ内での売り上げの最大30%を手数料として、アプリベンダーから徴収しているといった仕組みでございます。
従前より、アプリベンダーからは、この手数料が非常に高いといわれており、アップル税などと揶揄されていたわけであります。
そして、ユーザーがそのアプリの購入やサブスクリプションサービスへ支払うシステムについても、これまたAppleが提供する決済システムなんかが利用されているわけでございます。
ちなみに、AndroidなどのスマートフォンでおなじみのGoogle(米アルファベット)のGooglePlayと呼ばれるストアでも同様の仕組みとなっております。
こりらも、ストア上で販売されているアプリの売り上げから最大30%の手数料が徴収さるような仕組みであります。※GooglePlayは、2022年1月より手数料を10~15%に引き下げられております。
ベンダーや国からの巨大プラットフォーマーに対する規制強化の波
今回は、その決済システムに関して、Appleが一部のアプリに対して、外部の決済システムを利用することを容認したといったお話でございます。
外部の決済システムの利用については、2021年から、海外では国ぐるみで規制する動きに乗り出しております。
- 韓国では、2021年に、世界で初めてとなる巨大プラットフォーマーが提供する自社の決済システムの強制を禁じる法律を成立
- オランダでは、デートアプリに対して、外部の決済システムを利用することを認めるようにAppleに命じ、応じなければ罰金科すことを命令
そして、この度日本でも動画や電子書籍といったいわゆる「リーダーアプリ」に対して、外部の決済システムを利用することを容認することとなりました。
巨大プラットフォーマーに対するベンダーからの声や国側からの規制については、長年にわたり議論されてきたものでもありますが、今回の動きはそこに一石を投じるような形になったといえましょう。
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ユーザーへのメリットはいかほどに。
さて、Apple、Googleや国、アプリベンダーとの攻防の結果ユーザーに反映されるわけで、ユーザーのメリットはいかほどになるかという点が、消費者側にとっては重要なこととなりましょう。
外部の決済システムに関していうと、アプリの使い心地、いわゆるユーザビリティについては、確実に落ちるものと思われます。
日本の例でみてみると、容認はされたものの、実は外部の決済システムへ誘導するリンクを設置することが認められる、といった範囲にとどまり、アプリから、一度ブラウザやその先の決済システムへ飛ばないといけないわけでございます。
そこから、個人情報を入力したり、クレジットカード、口座番号の入力なんかも求められる可能性もあり、手続きにかかるステップが増えてしまうことは避けられない状況であります。
また、アップルとしては、自社の決済システムの利用を強制している一方で、プライバシー保護やセキュリティへの対応といったところは、担保する形をとっておりました。
リンクを設置する際は、外部サイトでの取引における責任を負わないことを示した画面を挿入させるといったことを求めています。
一方で、ポジティブな面でいうと、ベンダー側は、これまで手数料として徴収されていた分をお金やサービスの品質などの形で、ユーザーに還元することでロイヤリティを上げるといったことを行うことも可能となります。
このあたりは、一長一短ではありますが、最終的にユーザーに対して、メリットのある動きになってもらえればと思います。
今回のお話は、一部のカテゴリのアプリのみが対象となっておりましたが、今後大手プラットフォーマーに対する規制は強くなる傾向になることと思われます。
最終的には、我々ユーザーに帰ってくる話でありますので、引き続き注目度が高いお話かと思われます。
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ということで、本日はここまで。
この記事がみなさまのお仕事の一助になれば幸いです。
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